痴漢についての示談交渉の流れ
1 被害者の特定
示談をするにはまず被害者が誰であるかを特定する必要があります。
痴漢の特徴として、不特定多数の人が存在する電車内や人混みの中で犯行が行われることが多く、偶然にも連絡先を知っているような場合でない限り、被害者の特定は難しいです。
そのため、被害者が判明するのは、加害者が警察から痴漢について連絡を受けた後ということが多くなります。
2 被害者と連絡を取る
加害者が痴漢について警察から連絡を受けたとしても、警察から加害者に被害者の情報を教えてくれることは、まずありません。
そこで、加害者から依頼を受けた弁護人が、警察に連絡をし、加害者に代理して被害者に対する謝罪等のための連絡をしたい旨を申し出て、警察から確認を受けた被害者が了承してくれれば、警察を通じて被害者の連絡先を把握できるようになります。
このとき、初めて被害者が誰かが特定できることが多いです。
なお、被害者が弁護人からの連絡を了承してくれない場合、被害者の特定もできませんので、示談のしようがなくなってしまいます。
3 被害者に対して示談の話をする
被害者と連絡が取れる状況になったとしても、すぐに示談交渉ができるとは限りません。
弁護人としては、被害者に連絡をしたら、まずは被害者のお気持ちを聞くことが重要です。
加害者の謝罪や反省も大切ですが、まずは被害者が痴漢被害についてどのように考えているのかを把握することが大事です。
被害者からお話を聞かせていただいた上で、示談の糸口を見つけて、示談交渉をしていくことになります。
たとえば、電車内での痴漢であれば、その痴漢を行った路線を今後使用しないといったことや、引っ越しをすることで可能な限り生活圏を変更するといったことが条件になることがあります。
そのような被害者側としての想いを、弁護人で受け止め、加害者と共有して、実現できるかどうか、調整をしていきます。
また、示談をする際には示談金として慰謝料などの損害賠償をすることになり、その金額についても、示談交渉の中で話し合いを進めていきます。
4 示談の内容
交渉がうまくいき、示談をすることとなった場合、示談の内容としては被害者が加害者に対して刑事処罰を求めない旨の記載を盛り込むことが重要です。
宥恕(ゆうじょ)というものですが、これがあるかないとで結果が大きく異なることがあります。
この記載がなければ、示談は単なる民事上の解決で終わったと見られてしまい、刑事事件において不起訴を得る、あるいは略式罰金により正式裁判を避けるという目的が達成できなくなることがあるのです。
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